山梨県丹波山村にて、地域の獣害対策および野生動物の生態解明を目的としたクマ(ツキノワグマ)の捕獲・学術調査を実施いたしました。
今回の調査では、安全に配慮したドラム缶罠を用いて個体を捕獲し、鎮静(麻酔)下での個体識別・データ測定を行った上で、生態追跡のためのICチップ挿入、発信器および耳タグを装着して自然へ放獣しました。
今回は、その実際の現場の様子と調査の流れをご紹介いたします。
調査の目的とドラム缶罠の設置
近年、全国的にクマの出没や人里への接近が問題視されていますが、適切な保護管理や防護策を講じるためには「クマがいつ、どこを、どのように移動しているのか」という行動圏データの把握が不可欠です。
丹波山村の豊かな森林エリアにおいて、まずは安全性の高いドラム缶罠を設置・調整しました。

ドラム缶罠は、誤捕獲時の危険を減らし、捕獲時にクマ自身が怪我をするリスクを最小限に抑える設計となっています。仕掛けの動作確認やロープの調整を慎重に行い、設置を完了しました。
捕獲確認と安全な麻酔投与
設置後、無事に目的の個体が罠に入ったことを確認。現場には専門技術を持つスタッフが集まり、場所を移して慎重に作業を開始しました。
安全管理を徹底した上で、ヘルメットやバイザー等の防具を着用し、罠の観察孔・作業用小窓から吹き矢(吹き管)を用いて正確に麻酔(鎮静剤)を投与します。麻酔が十分に効き、クマが完全に落ち着いた状態になるのをしっかりと確認してから次の手順へ移ります。

ICチップ埋め込み・耳タグ装着・個体識別調査
クマが安全に眠っている間に、以下の調査および個体識別作業を迅速に行いました。
- ICチップ(マイクロチップ)の埋め込み
注射器型の専用器具(インジェクター)を用い、皮下に個体識別用のICチップを注入・埋め込みました。これにより、将来的に再捕獲された際にも確実に個体を特定することが可能となります。 - 耳タグ(イヤー標識)の装着
再捕獲時や目撃時に個体を識別できるよう、黄色の識別耳タグ(標識)を耳に装着しました。 - テレメトリー用首輪(発信器)の装着
今後の移動ルートや行動圏をGPS/電波追跡するための調査用首輪を装着しました。
一つひとつの作業は、クマへの負担を最小限に抑えるため、短時間かつ手際よく進められます。



覚醒確認と自然への放獣
すべての計測と装置の装着が完了した後、麻酔からの回復(覚醒)を安全な距離から見守ります。

バイタルや意識の回復を確認し、クマが自力で元気に森林の奥深くへと戻っていくのを見届けて、今回の捕獲調査は無事に終了いたしました。
まとめ|科学的データに基づいた「人とクマの共生」を目指して
今回の調査で得られた行動データは、今後の丹波山村および周辺地域の鳥獣害対策や、効果的な防護柵の設置、人里への出没予測などに大きく役立てられます。
株式会社プロテクトJでは、単なる駆除にとどまらず、「データと科学的根拠に基づいた獣害対策・生態管理」を通じて、地域社会の安全と野生動物との適切な距離感(共生)の構築に貢献してまいります。
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